知っておきたい法事・お葬式の知識
枕経って何ですか?
枕経は、その字のとおり、まだ納棺していない状態、亡くなってすぐに執り行うおつとめです。よく枕経というと「カミソリを頭に当てる(髪の毛をそる)こと」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、それはあくまでも結果です。枕経は、生前の行いをすべて懺悔し、そのうえで仏教を信じますと誓い、仏弟子とならせていただくのです。そして仏弟子となった証としてお戒名をいただくのです。ですので、枕経はお戒名をお授けする意味からも、とても大切な儀式なのです。
法事やお葬式はどこですればいいの?
法事もお葬式も本来はご自宅で行うものです。ですが、今の世の中においては、住宅の事情などさまざまな理由で、これらをご自宅で執り行うのが難しい場合も多くなっているようです。そういう場合は、お寺にご相談ください。「ご自宅で行うのが本義であるが、難しい場合はお寺を借りるとよい。それも難しい場合は、公民館、あるいは葬儀社のホールを使わせてもらう」という順番だとお考えください。ご家族、あるいはご家族と親戚の方だけの40名様程度までお葬儀ならお寺でじゅうぶん対応できます。利益寺では、その際に本堂の使用料をいただくことはいたしません。夏・冬のエアコンやストーブ使用時期だけは、燃料代として数千円御寄進いただければありがたいです。お気軽にご相談ください。
人が亡くなったら、神棚やお仏壇は閉めるの?
神棚は閉めます。お仏壇は閉めません。お仏壇は阿弥陀様の極楽浄土の様相を表したものです。人が亡くなるということは、今からそこに往く人がいるということです。ですから閉めてはいけません。
どういう服装で行けばいいの?
通常「喪服」と呼ばれるような黒いスタイルで列席します。喪服が黒色になったのは、実は近年になってからのことです。それまでわが国では喪服の色は白色でした。お葬儀の時のお位牌も白木、お葬儀を終えてご自宅で四十九日までの間、お位牌を安置する檀も白、そこで用いる香炉や燭台も白ですね。これは「急ごしらえ」ということでした。今でも女性の喪服に白い糸がついていますが、これは喪服がかつて白色だったことの名残といわれています。また、葬儀の際、男性が襟に白色の布をつけたり、耳の所に白い布をはさんだりする地方もありますが、これらも同じです。
現在では、通夜葬儀であれば男女ともにいわゆる「喪服」と呼ばれる黒の衣装がよろしいかと思います。またご法事であれば、ご親族やおともだちなどもお呼びになってのかたちであれば、お葬儀に準するような服装が無難でしょう。ご家族のみといったフランクな間柄の方々のみであれば平服でもよろしいかと思います。
「ご霊前」「ご仏前」どちらを書けばいいの?
ご自身が参列なさる立場で、そのお家に対してなさる場合は、「ご霊前」「ご仏前」とします。四十九日までは「ご霊前」、それ以降は「ご仏前」とします。それは、お位牌をどこに安置しているかを見るとよくわかります。四十九日までは、お仏壇とは別に檀を組んで、そこにお位牌を安置しています。そこにご本尊様はいらっしゃいません。四十九日を過ぎますと、お仏壇の中にお位牌を安置します。そこにはご本尊様がいらっしゃいます。ご本尊様(=仏様)の前にお供えするから「ご仏前」となります。よく文具店などで販売されている金封が入っている袋に、「四十九日まではご霊前を使いますが、四十九日で成仏するのでそれ以降はご仏前を使います」などと書かれているものを見かけますが、浄土宗では四十九日で仏になれる(成仏する)とは考えません。49日を経て、極楽浄土の世界に出てこさせていただき、そこで仏になるための修行を行うのです。なので、まだ「仏」ではありません。
お布施の相場ってどのくらいなの?
よくお葬儀の話になると、「お布施」の心配をなさる方がいらっしゃいます。
利益寺ではお布施の金額は定めておりません。お布施はお気持ちです。
この「お気持ち」とは、お寺に対しての「お気持ち」ではありません。
「お気持ち」は、ご自身の大切な方、この方に対して、自分は何をしてさしあげたいのか、
今、この方に対して、自分のできること、したいことは何なのか、これが「お気持ち」です。
そのうえでですが、「だいたいの目安だけでもわからないと・・・」とおっしゃる方に対しては、
「葬儀(通夜葬儀)の場合、20~30万円程度」
「法要(四十九日や一周忌、〇回忌など)の場合、3~5万円程度」
なさる方が多いです、とお伝えしております。
しかし、上記のとおり、必ずしもその額でないとだめだということではありません。
それより多い場合も少ない場合ももちろんございます。
大切なのは、
1.故人様のことを思って、故人様のために一生懸命自分ができることを(できる範囲で)していること
2.ご自身が納得できていること
です。
心配なさらずご相談ください。必ず安心できる答えがそこにございます。